I really like how you talk

ちょっと足らないロック好きのシンナー少女

忘れたくないこと。

ひとつの椅子に二人で腰掛けること、暖かいアウターを貸してくれたこと、髪の毛についた綿毛を取ってくれたこと。

帰り道は深夜で、三月の下旬だというのに、風が身体を芯まで冷やす。夜を走る。滑らかに走る人。長距離が得意なことを知る。

一月の雪の積もった日にはふたり雪玉を作り、投げながら帰った日のことを思い出す。

何度も何度も諦める恋。会うたびに好きと思う人。

寒さを分ち合うこと、温め合うこと。音楽を奏でること。桜を見ること。朝方に目を覚ましキスをすること。咳き込む背中をなでること。またねと言葉を交わすこと。